マティーニ
2003年3月30日仕事場でワガママな後輩の子守をしながら
ヘタにぶつからないように 気をつかったりして
若いやつは怖いもんだ なんて
自分も歳をとったもんだ
友人とマスターに 仕事を愚痴れば
「仕方ないよ」なんて言葉で慰められて
大好きなはずのマティーニも 心なしか少し苦いんだ
ジンを冷やして かき回して
静かにレモンピールをふれば
すっぱい香りが一面に広がる 一杯のマティーニ
真夜中の街 暗がりのビルの中
銀座だなんて洒落て 後輩に差をつけてみたりして
街のビルの間 朝日が差し込めば
ああ 「今日」がやって来たと
マティーニを飲み干して とぼとぼ帰ろうか
部屋に戻って ネコに慰められれば
言葉が通じない方が都合がいいやなんて
ジンを片手にネコを見ながら 思うんだ
グラスについで 机の上を滑らせて
静かにオリーブを沈めれば
心に染み入る 一杯のマティーニ
部屋でワガママな彼女の相手をしながら
そんな感情を悟られないよう 気をつかったりして
女は皆こんなもんだ なんて
自分も情けなくなったもんだ
彼女を誘わず 一人でバーにもぐれば
カウンターに腰かけりゃ好い気なもんで
ジンに浮かぶ自分が くだらないナルシストに見えるんだ
喉を通って 体中に染み入って
静かに目を閉じれば
全てを忘れさせてくれる 一杯のマティーニ
ジンを回して オリーブを沈めて
グラスに注いだら レモンピールをかけて
癒してくれる 忘れさせてくれる 一杯のマティーニ...
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